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ラボ分析計

イオンクロマトグラフ分析装置の基礎

<概要>

イオンクロマトグラフィーは、主としてイオン種成分を測定する液体クロマトグラフーの一種として位置づけられています。

溶離液を移動相として、イオン交換体などを固定相とした充填カラム内で試料溶液中のイオン種成分を分離し、定量する方法であります。

このイオンクロマトグラフィーは、環境水中の無機イオン測定のために開発され、1975年にSmall らによって発表後、国内においても環境水や排水等の水質管理のほか、大気環境測定や食品分野などの品質管理等にも広く適用されている分析方法です。

<特長>

・イオン交換樹脂カラムを用いることで、イオン成分の導電率を測定することで効率的・選択的、高感度にイオン分析できます。

・サプレッサーを用いることで、溶離液のバックグランドを低下させて、イオン性物質を高感度に分析することができます。

・異なった酸化状態(NO3-・NO2-)や異なった価数(Fe2+・Fe3+)を別々に定性・定量することができます。

<用途>

分野 分析対象試料 分析目的例
環境・公害 大気吸収液・雨水・河川水 大気中のSOx、NOx
上下水道 水道水・原水・上水 水道水中の陰、陽イオン
化学・石油化学 部品抽出液・高分子材料 エポキシ樹脂中の陰イオン
電子・半導体 超純水・ウエハー洗浄水 洗浄水中の微量陰イオン
金属・鋼鉄 表面処理液・メッキ液・冷却水 メッキ液中のクロム酸
農学 肥飼料・土壌・植物抽出液 飼料中の臭素
医学 血液・尿 血中のカテコールアミン類
化粧品・医薬品 石鹸・洗剤・シャンプー 化粧水中の陰イオン
製薬・工業薬品 薬品・洗浄液 錠剤中の重金属イオン
電力 冷却水・超純水・循環水 超純水中の微量不純物
食品・飲料 酒類・飲料水・菓子 食品添加物、糖類
製紙・パルプ パルプ溶液・処理工程水 紙抽出液中の陰イオン
<基本構成>

溶離液(移動相)中に注入された試料は、イオン交換樹脂を充填した分離カラム(固定相)によって分離されます。

サプレッサーで溶離液(移動相)のバックグラウンドを低減させた後、検出器で伝導度を測定して各種イオンの濃度を定量します。

また、溶出時間(保持時間)はイオン毎に異なるため、保持時間からイオンを定性します。

図1 イオンクロマトグラフの装置構成図

<サプレッサーの原理>

サプレッサーは検出のための付加装置の一種です。陰イオン分析の場合では溶離液に水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ溶液が使用されます。

サプレッサー内では陽イオン交換が行われ、溶離液中のカリウムイオン(K+)は水素イオン(H+)と交換されます。

この時の対イオンは水酸イオン(OH-)であり、水素イオン(H+)と結合して水(H2O)となります。このため、ベースとなる電気伝導度は非常に低くなり、ノイズなどの低減が図られます。

一方、試料中の塩化物イオン(Cl-)や硝酸イオン(NO2-)などの対イオンがカリウムイオンから水素イオンに変わります。このために高感度化が実現できます。  

<電気伝導度検出器>

水溶液中のイオンを検出する方法として、溶液の電気伝導度を測る方法があります。電極に一定の電圧を印加し、目的イオンが溶出した際の電流値の変化量を検出する仕組みです。

イオンクロマトグラフはイオンを測定するための専用装置で、検出器として電気伝導度検出器を使用しています。無機イオンから有機酸やアミン類など小さな有機物の測定が中心です。